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仮面ライダービルド 第49話「ビルドが創る明日」
(仮面ライダー)ビルドが作る明日
ではなく
創造が作る明日
だったか。
仮面ライダービルドそして平成二期、完結
(改号時期の都合でジオウも平成二期に含むか悩ましくなってますけど、まぁ一応)
中弛みが相当に酷いところもありましたが、着地点の美しさで許せてしまえる、そんなオチ。
『be the one(すべては一つに)』
ってそういうことか!
◆お前は所詮、俺に作られた偽りのヒーローに過ぎなかったんだよ!
初陣から今一つパッとしなかったラビットラビット、まさかの大トリOP獲得。
移動もありますし、劇場版からして戦兎の象徴としては『ウサギ』ということか。
ここまで来てようやっと手の届いたエボルト、今更フクイデワールドじみた精神攻撃か……とは正直思いますが、こういう事言い出さざるを得ないほど余裕がなくなったとも。
目的が目的というのこそあれ、ここまで戦兎自身をくさすことって初めてですよね……。
ようやっと仮面ライダーやビルドドライバーでなく、戦兎自身に目を向けた、向けさせられたという。
◆俺、今どんな顔していると思う? クシャっとしているんだよ
即堕ち2コマとか思ってごめんよ龍我。最後まできちっと仕事してくれました。
ただ劇場版や今話のエピローグもそうでしたけど、パートナーというよりヒロインよね、君。いや腐れではなくて。
二人が一緒に戦う事で打開した局面っていうのは思いのほか少なくて(一緒に戦う時は大体スタークやエボルトで止めまでいけないというのも大きい)、インパクトがあるのは窮地になった一方を助けに向かうというシチュエーションで、キーとなるアイテムが相方とつながりのあるアイテムというのは。
(万丈に至っては劇場版で洗脳悪堕ち(一種の)NTRまでやっているという……)
期待したダブルライダー、ダブル主人公とは違うのですが、なんともユニークで面白い関係になりました。
◆さぁ、実験を始めようか
今更そのボトルで……とはエボルト痛恨のミス。
そうね、そこまでは知らなかったよね……テレ朝公式に明言されましたがラビットドラゴンはあくまでトライアル……これがジーニアス超えの性能を発揮するのが本来おかしく、この二人とこの組み合わせだから出せた奇跡。
劇場版ではクローズビルドに場を取られたラビットドラゴンですが、このために温存していたのか!
(割と冗談抜きで対ブラッド族・対エボルト特化フォームで、能力説明に『エボルトの攻撃に耐えきれる性能』と名指しされている)
はじまりを彷彿させるボルテックアタックで、世界の果てへと叩き込まれるエボルト。
そして戦兎たちもまた……
◆なんだこれ……?
なるほど、ここがジオウの世界か(販促感)
新たに生まれた世界はこれまでの地続きでなく、やり直しの世界……スカイウォールの惨劇まで巻き戻され、エボルトがいなかった場合のパラレルワールド。
えぇ。あんだけやりたい放題壊しまくり殺しまくりでしたし、リセット落ちだと思ってましたよ。
少し……というには龍騎に失礼なほど、綺麗な世界(元が最悪すぎたともいう)
死んだ人も建物も全部なかったことになって、平和な日常に溶け込んでいる。
内海さんは初見でギャグかと思いましたが、サイボーグじゃなくなったからって事ね……折レヌヮァイ!(CV:若本)
万丈はエボルトの一部でなく、横浜の産婦人科で本当に元気な赤ん坊として生まれた長瀬 裕樹万丈 龍我へ、桐生戦兎は、科学者の葛城巧(東映公式で生存報告されてます)と売れないバンドマンの佐藤太郎に……って、成功してるだと……(失礼)
マスターの美味しい珈琲に象徴される、エボルトのいなかった世界。
桐生 戦兎は消滅こそ免れましたが、彼を知る者は一人もいない物哀しい世界。
って、思うじゃないですか。
戦兎ォォーッ!
い た 。
何が独りぼっちだよ二人ボッチじゃねーかよ末永く爆発しろ!(大混乱)
最後の最後までエボルト……エボルト遺伝子のしぶとさがこう作用してくるとは。
いやもうエボルトの意識は死んでますし、ブラッド星人の万丈龍我なのか?
整理すると
桐生 戦兎
┣前世界の桐生戦兎
┣戦兎にならなかった新世界の葛城 巧(やっぱり天ッ才物理学者?)
┗エボルトに殺害されなかった佐藤 太郎(あの後メチャクチャ成功した)
(※誕生の経緯上、新世界の桐生戦兎はいない)
万丈 龍我
┣前世界の万丈 龍我(茶髪の方)
┣新世界の万丈 龍我(黒髪の方)
そして新世界に二人きりのヒーローは語り部になったという……神話というか御伽話のような雰囲気の終わり。
およそ初期テーマの物理……自然科学とはかけ離れた着地点ですけど、この二人の空気は『お幸せに』と、言いたくなります。
ジオウも、宝生永夢ゥ! も、タケル殿ォ!(以下略)もいる新世界だけど
おぅ、ちっとも平和になった感じがしないぞチクショウ。
本編だけなら二人ぼっちの新世界への旅立ち。
劇場版までいれれば戦兎たちを知る人はわんさといるやかましいいつもの世界への帰還。
一抹の寂しさの傍ら、救いも感じさせる良き終末でした。
ハッピーバースディ、新世界!
◆総論
良くも悪くもエボルト
面白くなかったわけではない。
ですが中盤以降の似たような展開の繰り返し、敗北の連続はとても擁護もできない。
でも最終章は掛け値なしに面白いし、感動させられる。
すごく評価の難しい作品。
前話感想でも述べましたが、内外の事情こそあれエボルトはライダーの敵として強すぎ、そしてしつこすぎました。
映画に回されたブラッド族……あのあたりを幹部としてうまく消費できればよかったのでしょうけど、一人で首領から幹部までこなした結果、主人公はヒーローでなく
『未知の存在に良いように弄ばれ、必死に抗う健気な青年』
になってしまった。
前作の黎斗神や正宗パパがしぶとくも不快でなかったのは、適切な局面で『無様なやられ役』を演じてくれてたんですよね。
・出番の多い悪役は弱みや趣味、生活臭といった気安さがいる。時にやられ役、コメディもこなせる
(例:いうまでもなく檀親子@エグゼイド、浅倉@龍騎も割とコチラ)
・徹頭徹尾で強キャラを貫くなら直接対決、勝利数は少なくていい。主人公との絡みは極力減らす
(例:笛木パパ@ウィザード、ハカイダー@人造人間キカイダー、円谷だとザギさん辺り?)
とにかく『敗北』『負け』といったネガティブな要素はパワーが強くて、ヒーローの一度の敗北は一度の勝利では覆せない。
なぜならヒーローは『勝利して状況を好転させるのが当たり前』だから。
……この辺りのさじ加減の大事さを知る意味で、ビルドは勉強になりました。
作品自体が1年かけた大いなる実験だった、といってもいいかもしれません。
商品には直接ならなくても、悪役にかける手間と予算は削っちゃいけないね……って。
これが2~3クールの中編ならまた違ったのかもしれませんが。ドラマ出身者に初参加で4クールやらせるのは、やっぱりどうかと思います。
去年のエグゼイドが色々飛び抜けすぎて、作る側も色々狂ってしまったのかな……そう思うと、惜しい作品でした。