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仮面ライダービルド 第48話「ラブ&ピースの世界へ」
あんまり押されるとコミー系の胡散臭さを感じなくもなくなってくる単語、ラブ&ピース。
……元々ソッチよりの標語だったっけ、これ。
(声高に言われ出したのは冷戦、ベトナム戦争時代。いわゆるヒッピー文化の一つ)
大義のための犠牲に感動したいけど、最終ゴールとして提示されているのがハイパームテキさえいなければリセットというのがどうにも足を引っ張ります。
◆お前とは色々あったなぁ
同じようなタイミング、まったくの異口同音で前々作のウルトラマンのライバルも言ってたなぁ。
聞き比べるとエボルトというキャラクターが改めてわかる感じがします。もちろん、揶揄とかでなく。
(むしろ前川さんも青柳さんも凄まじい怪演なので必見。いやマジで)
ウルトラマン的にいうと
星狩宇宙人 ブラッド星人
いまどきのヤツらだとブラッド星人エボルトとでもなるんでしょうか。
こっちの方が違和感ないという恐ろしさ。
ライバルでも、師匠でも、敵の首領というのすら怪しい。
最終的にいきついたのはクトゥルフ神話……具体的にはニャル子さん、もといニャルラトホテプ。
……そういえば逢空万太せんせも重度の特撮ヲタだった。
人間一人が倒すなど烏滸がましく、抗う事で最悪を避けるのが精一杯、そんな相手。
そう考えると一時出た『感情を芽生えさせることが倒す手立て』という話は『わけのわからない宇宙的恐怖を、人間の感情を持つ近しい存在に変える』というメタ的な意味が強かったのかな……と。
……メタファーはともかく、劇中は超パワーアップしていて、最終フォームなんじゃそらという大暴れっぷりですけどさ!
◆さぁ、俺の一部となれ
月を吸収した拳で殴ってくるのは、火星の力(物理)をやらかした例の神リスペクトなんでしょうか。
(月面パンチ(物理)は逆に、ゲンムVSレーザーで先に神が披露しているので)
さすがにVシネと比べるのは酷というか、ゴモラアーマーかそれはッ!? って手甲なのが悲しい予算と時間不足を感じますけど。
(一応、武装ではなく一形態扱いだそうですが)
クロノス一発KOだった月パンチを喰らってマスク割れで済んだローグ@玄さん……これまでも片鱗ありましたけど(解除じゃなく吹っ飛んだだけとか)防御は割ととんでもない逸材だったのか。
◆大義のための、犠牲となれ
マスク割れからが平成仮面ライダーの本番……いや一部割れることができない人とか、お前のマスク割れで世界がヤバい
……この決め台詞、復活はネビュラガス再強化あたりからですが、相手と状況で、完全に違う意味の言葉になっているのが面白く、そしてせつない。
これまでも言外の部分はあってのですが
『(俺が傷つけてしまった無謬の民よ、せめて)大義のための犠牲となれ』
と相手に投げかける哀悼だったのが、今の状況……人類の敵エボルトを前にした結果
『(我が身、)大義のための犠牲と為れ』
つまり自分自身、死を覚悟した辞世の句になっているという。
筆者は氷室首相から託された玄さんは死んじゃまずいでしょ、という立ち位置でしたが……人々の応援に覚悟を決めたのかと思うと、納得できなくもない。
自分がいなくともこの国はやっていける。後に託せる者がいる。
そう信じられて、玄さんは決死を挑めたのではないでしょうか。
……振り返ってみれば三年前のハート様に続き、亡国の王の生き様か。
玄さん……。
◆ありがとうな
玄さんの犠牲でこじ開けた突破口。
最期に身を投げ出すのは戦兎君と共に予定調和と無縁の、しかしある種の予定調和をはらんだ男。
万丈ォ!
(あくまで中の人と設定繋がりだけですけど)全てを知って
『それでも俺は生きるよ』
と、足掻くのがアマゾンズ(千翼)だったのに対し
『ありがとうな』
と、自ら身を投げ出すビルド(龍我)という構図は哀しくも美しい調和を感じなくもない。
そして彼と戦兎君は一からエボルトに生み出された存在で新世界への保証が一切ない。
(戦兎君の場合、佐藤 太郎……じゃない、葛城 巧は生まれるでしょうけど……)
一年続いたビルドも残り1話。最終話は二人の物語に収束する事になりそうです。