メカニック解説


機動重機マシンウォーカー

機動重機、マシンウォーカー(以下、MW)は巨人族の遺跡発掘用に作られた1〜2人乗りの巨大ロボットです。
元々遺跡内のガーディアンの技術を解析して作成されたMWはオーバーテクノロジーの塊であり、
その使い勝手から現在では軍用、作業用など様々な用途へ汎用的に使用されています。
現在、MWには大きく二つの機種が存在します。1つは遺跡発掘用から正当進化した二足歩行型(人型)、
もう1つは近代、戦争期に発達した純戦闘用の動物を模した四脚型です。
2種にはそれぞれ一長一短があり、それぞれの得意分野にあわせて使い分けが行われています。
→MWカタログ

MWの特徴

MW最大の特徴は何といっても気軽な使い勝手です。
燃料電池式超伝導モーターで駆動する全長8〜10mのボディは連続24時間近い稼動(※1)が可能で、
足場の悪い荒野や礫地でもほとんど負担をかけず歩くことができます。
またMWが普及したゼムノゥーザ社会では地球上のサービスエリアやガススタンドのように、
各所にMW向けのスタンドが設けられており、たいていの場所で整備や補給を受けることが可能です。
(※1.通常機動時。全力走行や戦闘機動時は通常の1/3〜1/4程度の稼働時間になります)

MWを操縦する

MWの操縦席は二足歩行型・四脚型を問わず頭部にあります。
(頭部といっても人間然としたものではなく、操手席を覆うカバーがそう見えるだけです)
四脚型は頭部が丸ごと、二足歩行型はMW胸部に下半身を置くような形で目視による操縦を行います。
当然、視界は非常に悪く戦闘時以外はカバーを跳ね上げて運用するのが普通です。
MWの操縦は操縦者(操手と呼びます)1人で可能ですが、
開発初期の名残として、多くの機体にはナビ用のサブシートが操手席後部に装備されています。

 MWの操縦は極めて器械的です。左右レバーで腕部&火器・装備管制、フットペダルで脚部管制、
詳細命令が必要な時はキーボードとコンソールを使用し、コマンドとGUIで指令を行います。
情報はキャノピー部に透過表示(ヘッドアップディスプレイ)され、操手は正面を向いたまま殆どの情報を得る事ができます。

MWの基本装備

ほとんどのMWには以下の装備が標準搭載されています。

MWの弱点

MW最大の弱点は気密性のなさです。多くのMWは自動車程度の気密性しか持たず、
全身が沈むような渡河、酸素の薄い高空では活動できません。また操手は毒ガスなどの影響も受けます。
もう1つ、高熱もまたMWの弱点です。全身が火に包まれるなど機体温度が極度に上がると、
超伝導状態が保てずモーターや電子機器の出力が低下、最悪は停止する恐れがあります。

 最後に……これら弱点を含めてMWはけして強力な兵器ではありません。
技術で大きく優越していても、地球の第2世代MBT(日本の74式戦車など)に正面から勝つ事は難しいでしょう。
兵器としてのMWはゼムノゥーザの特異な文明が生み出した珍発明でしかないのです。

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MWを駆るものたち

MWはその気になればゼムノゥーザのほとんどの人間が使用できます。
ここではその中でも、一般的な職・物語の中心となりうる職を紹介します。

※パラメータについて
各職業には直感的にわかりやすいよう「派手さ」「身の危険」「自由度」のパラメータを設けていますが、
これらはあくまで世間一般の目安と考えてください。特に物語の主役は世間の基準を飛び越えた者も多いでしょう。

MW派遣業者

MW派遣業者はその名の通り、MWを使う作業の何でも屋です。近代的な冒険者ともいえるでしょう。
これは元々戦争終結で失業した軍人たちが始めたPMC(民間軍事会社)のような組織でしたが、
大半は軍事だけで食っていけず、民間の土木作業から映画のエキストラまで様々な業務を行っています。
MW派遣業者の業務形態は本当に様々です。ビジネスライクな大企業から、各個人がMWを所有し、
最前線で社長が指揮を取る個人企業(ほとんど冒険者パーティのノリ)まで色々な会社が存在します。
MW派遣業者が関わる事件は本当に多種多様で何でもありです。
MachineWalkerに初めて触れる場合は、このMW派遣業者を主人公とすることをお勧めします。
派手さ:☆☆☆
身の危険:☆☆☆
自由度:☆☆☆

土木作業員

MWを使い、建築や解体、発掘などの土木作業用に従事する者たちです。
ゼムノゥーザで一般人が一番見かけるMW操手は、この人々でしょう。
命の危険は(他の職に比べれば!)少ないものの、戦闘など派手な展開は当然なく収入も月並です。
この職につく者たちを主役とする場合、一刻を争う解体作業や、命がけの危険な工事のような、
『普通ではない現場』での作業を物語の中心とするのがよいでしょう。
また紛争地帯や遺跡を専門とした、戦闘上等の武装工事員というのも面白いかもしれません。
派手さ:☆
身の危険:☆
自由度:☆☆

警察関係者

MWを使用した凶悪犯罪に備え、警察にもMWは配備されています。
MW機動課の主な仕事は違法MWの取り締まり、そして犯罪者の駆るMWの捕縛です。
銃火器が使われることは少ないものの危険は多く、また戦闘に制約が課せられることもよくあります。
物語の主人公としての活躍は多くの警察・刑事ドラマが参考となるでしょう。
ロボット+警察という舞台背景は『機動警察パトレイバー』をはじめとした名作も多く、
それらの背景から物語を考えることもできるかもしれません。
派手さ:☆☆
身の危険:☆☆
自由度:☆

軍人

ゼムノゥーザにおいてMWは戦争における決戦兵器でもあります。
軍におけるMW師団の役割は、地球の戦車師団とまったく変わりありません。
すなわち高い突破力による敵陣の粉砕と戦線維持です。MWは戦車同様、戦争の花形といえるでしょう。
軍のMW兵は、とりあえずMWで戦闘がしたい場合にうってつけの職です。
大きな戦争は終わりましたが地域紛争はまだいくらでもありますし、新たな戦争を舞台とすることもできます。
戦地での交流、戦争の狂気、命令と良心の狭間での苦悩といった戦闘以外の問題も、
物語におけるよいアクセントとなってくれるでしょう。

派手さ:☆☆☆
身の危険:☆☆☆
自由度:☆☆

その他の人々

個人的にMWを所有して活動している人間は他にも数多くいます。
遺跡の発掘は既に個人の手を離れ軍や土木関係者のものとなっていますが、
まだ個人で調査・発掘を続けるトレジャーハンターは残っており、それを護衛する傭兵なども多くいます。
紛争地域を旅する行商人が自衛用にMWを所有することもよくあることです。
このような『MWを所有する個人』は主役としても脇役としても、物語のよいアクセントとなってくれることでしょう。

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各国のMWメーカー

高度に発展したMWは既に個人業者の手を離れ、大手メーカーによる工業製品となっています。
現在、完全に独自のMWを作れるメーカーは以下の6社となっています。
ほとんどは戦争世紀以前からの老舗ですが、サザンクルスのような新興の会社もあり、
今後もまだここにない会社が新たに参入することは十分考えられるでしょう。

R&E(Rachel&Edith)社 (ブリスランド)

近代MWの父であるエディス・クレイグと、その姉レイチェルが起源の老舗会社です。
堅実で実用的な機体構想に定評があり、傑作機スナッチャーの開発元でもあります。
現在の主力も二足歩行MWが多く、ブリスランド王国の軍事を一手に引き受けています。
本拠:ブリスランド王国 ドゥーマ市
代表:ラフィン・ディアマンテス(ゼムノゥーザ・男・47歳)

ワークスフリーデン(ディサイリシュ連合)

R&E社と双璧をなすディサイリシュ連合の老舗がワークスフリーデンです。
ディサイリシュ連合国営のMW事業部が民営化したもので、歴史は浅いものの高い技術を受け継いでいます。
R&E社に比べ先進的・実験的なMWを開発することから、イロモノ会社として熱狂的な支持者がいることでも有名です。
近年はかつての敵国ガティア向けにもMWを輸出しており、このことから過激な愛国主義者の標的にもされることもあります。
本拠:ディサイリシュ連合首都ルエアード(1015年現在、本社ビルは大規模テロで焼失中)
代表:ユーン・リィーダ(ゼムノゥーザ・女・23歳)(テロで死亡した前社長の娘。社員の士気鼓舞のための飾りに近い)

セントラルインダストリー(地球植民船団セイバーシティ)

地球植民船団がMW開発のために興した新興企業で、ゼムノゥーザでも最も新しい会社の1つです。
新興ながら技術力はすさまじく、MWに関するノウハウを全く持たない状態から数年で独自MWを開発するまで発展しました。
地球の技術力を背景に飛行MW、可変機など全く新しい形のMWを多数発表している一方、
「人間をさらって実験材料にしている」「惑星を乗っ取る下調べをしている」など怪しい噂も絶えない企業です。
本拠:地球植民船団セイバーシティ
代表:ワン・フェイロン(アーシアン・男・40歳)

グラビット社(セス民国)

セス民国内を主な市場とする大規模メーカーで、以前はR&E社のセス民国内下請けとしてパーツ開発などを行っていました。
独自のMW製造メーカーとなったのは十数年前のことで、近年は積極的にセントラルインダストリーとも提携しています。
資源が少ない国内事情を反映した機体はコンパクトなものが多く、1つの生産ラインを使いまわすシリーズ生産でも有名です。
本拠:セス民国首都セス
代表:ヒャックル・ル・ファン(ゼムノゥーザ・男・71歳)

サザンクルス(ブリスランド王国)

サザンクルスはR&E社の開発ラインから独立した、ブリスランドの新興MWメーカーです。
R&E社の主流派閥に反対する人間が立ち上げた企業で、その経緯からR&E社と激しく対立しています。
MW技術はR&E社の四脚MW開発ラインを受け継いでおり、同社の発展機を多く開発しています。
本拠:ブリスランド王国 ミクライール市(通称、鋼の穴)
代表:マーシャル・クレイグ(ゼムノゥーザ・男・32歳)

GMI(Gatia Military Industry)(ガティア公国)

ゼムノゥーザで最も新しい会社の1つで、その名の通りガティアの国営軍事企業です。
近年、軍事クーデターによって起こされた軍事新政権が鳴り物入りで設立したMW企業ですが、
極度の秘密主義で全貌は謎に包まれています。
本拠:ガティア公国首都ガティア
代表:サイル・ヴェイン・ライム(ゼムノゥーザ・男・48歳)(クーデター政権首相。実際の企業運営は他の人間が行っていると推測される)

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MW以外のメカニック

地球上で車が唯一絶対の乗り物でないように、ゼムノゥーザにもMW以外の乗り物は多数存在します。
その中でも特筆すべきものについて、ここでは簡単に触れていきます。

マシンキャリア

マシンキャリア(以下、MC)は、MWの円滑な長距離輸送・整備用の移動基地として製造された特殊車両・艦艇です。
起源はMWの稼働時間が短かった時代の移動用車両までさかのぼれ、キャンピングカー兼用のキャリアカーから、
戦闘用の地上軍艦(陸戦艇)、中には海戦用のものまで多種多様な機種が存在します。
MWの運営はMC1隻を1部隊として行うのが一般的で、MW派遣業者の中にはMCを本拠とする企業もあります。

既存の交通手段について

MWが闊歩するゼムノゥーザにおいても、自動車や船といった乗り物は現役で存在しています。
整地された道路では自動車の方がスピードも出せますし、輸送量は比べるべくもありません。
なお化石燃料の枯渇したゼムノゥーザの自動車は、大半が燃料電池で稼動する電気自動車です。

飛行機械

面白い事にゼムノゥーザにはつい最近、地球植民船団の登場まで飛行機械、いわゆる飛行機やヘリが全く存在しませんでした。
これは技術以前に遺跡からの発掘物に飛行機や航空力学に関するものが全くなかったことに由来しており、
研究者の中には意図的に巨人族が記録を残さなかったのではと分析する者もいます。
この事から近代になってもゼムノゥーザ諸地域のアクセスは極めて悪く、別の大陸への旅は壮大な旅行になってしまいます。
近年、地球技術による飛行機も流通し始めていますが、まだ一般的というほどには普及していません。

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