World
世界の始まり

 LEGEND世界…そしてその舞台となる大陸ラフトの成り立ちははっきりわかっていません。
戦いに倒れた神や世界樹の身体より作られたというもの、
はじめに大地ありき、そこに海の果てや異世界から人々が移り住んだというもの、
世界は海にみたされており、そこに大地共々人々があらわれたとするもの等、
地域・宗教・種族により様々な説が唱えられていますが、未だこれという定説はありません。
(傾向として、ドワーフ・人間は自然発生を、エルフ・宗教関係者は神や世界中が関わるものをよく主張するようです)

 世界の創世後、はじめて存在が確認されるのは大陸規模の巨大な遺失文明…俗に「物質文明」とよばれる文明からです。
時に遺跡として発掘されるこの文明は現代より遥かに高い文明を持ち、発展していたとされますが詳しいことはわかっていません。
なお、考古学者の中にはこの物質文明を専門に扱う「最考古学」という分野も存在し、少数ですが研究も行われています。
大陸全土を覆い尽くす程の勢力を誇った物質文明ですが、彼らはある時を境に姿を消し、世界には大きな空白期間が訪れます。
この終焉・空白期間も物質文明の謎の一つで、戦争説・異世界転移説等が囁かれますが、やはりはっきりとはわかりません。
最考古学者の中には、物質文明を築いた者達は自分達と同じ人間ではなかったとまで考えるものもいます。

 とにかくも、物質文明の消滅後人々は再度歩みをはじめます。
やがて現在の人類史の中で最古の記録が残る、ロードリング時代がはじまります。
現在の年号である大陸暦は、このロードリング帝国の誕生を元年に始まりました。


Eastern Side 東方地域
大陸ラフトの東西を仕切る大砂漠地帯より東にあたる地域です。
東方地域には、
「芸術都市」マリーシア王国
「戦争国家」ロードリング帝国
「オアシス」アレクス自治区

の2(3)国が存在しています。

東方の歴史・世界情勢

 現在の人類の歴史は東方、ロードリング帝国よりはじまりました。
はじめ小さな豪族の寄り合い所帯であったロードリングは、世紀前30年のモンスター大発生を境に結束を強め、
周囲の豪族を取り込み、懐柔し世紀前10年には現在の国家の原型を整えあげました。
その後、当時拠点となっていた湖畔都市ハンネスを王都と定め、王城への砦改修終了と共に、
初代国王ロードリング・ランドールは自らの帝国建国を宣言しました。

 帝国は記録や封建制度に始まり生活様式まで、現代に影響を残す様々なものを生み出しました。
そして戦争・侵略・種族格差…いわゆる人類の負の遺産もこの時代からはじまります。
ロードリングは成り立ちからして戦争国家でした。建国者であるランドール一派は逆らうものを許さず、
いまだ屈服しない豪族・異種族たちを侵略し、更に侵略した先の戦力を取り込むことで増大を続けていきました。
やがて大陸暦250年を過ぎる頃にロードリングは大陸東方のほぼ8割を治めあげました。

 ロードリングの一国独裁体制が揺らぎ始めるのはそれから80年程先…大陸暦320年前後です。
その頃、反ロードリングを掲げて立ち上がり、破れていった無数の革命家の中に、その男はいました。
彼は敗走する最中、一人のフェザードの導きにより当時秘境とされた大陸北端、現在のマリーシア半島へと辿り着きました。
道中は厳しく、生き残ったものは彼のほか僅かな仲間のみ。しかしそこは当時弾圧された異種族たちの楽園でした。
やがて異種族たちの協力をへて、また自分達同様に戦いに敗れ、ロードリングを離れたもの達を受け入れ、一つの国家ができあがります。
国には建国王ノーリッジ・オズボーンを導き、そして道中に倒れたフェザード…マリーシアの名前がつけられました。
人々は異種族たちの文化・芸術を取り込み、ロードリングとは違った、しかし同時に引けをとらない華やかな文化を築きました。

 やがて二つの国家には激突の時がやってきます。大陸暦362年、東方諸国がロードリングとマリーシアの二つに統合された頃です。
戦いは国力で圧倒的優位のロードリングの勝利と思われました。
しかしいずれ来る決戦に備えて軍備を整えてきたマリーシアは、その地形を駆使し国土を護りきることに成功します。
以降、約50年ごと、今まで9度にわたる戦いが二つの国家の間で繰り広げられましたが、現在も決着はついていません。
870年現在、以前の戦いより70年近くが過ぎたことで、人々は次の戦を予感し始めています。
もっともロードリング王家周辺の戦争意欲は揺らぎ始めており、この戦いはマリーシアの不戦勝で終わるかもしれません…。


マリーシア王国

代表
オレアスIV世(人間・男・51歳)
マリーシア現国王。無能ではないがいささか精彩を欠いた平凡な人物。
現王妃キャノン・ワーズ(人間・女・42歳)他側室との間に3人の王子と2人の王女をもうけている

都市人口・人口比率
12万人
(人間70%、エルフ10%、ドワーフ10%、フェザード5%、その他5%)

主要都市・産業
プロスパラス(人口7万2千、商業・観光業・芸術):マリーシア王都、芸術の都と呼ばれる美しい都市。ヴィゼリア大神殿あり
ヒューレス(人口2万2千、特になし):防衛拠点でありロードリングからの玄関口。人口の半分は軍事関係者とその家族
オリービャ(人口1万3千、林業・鉱業):森と山に挟まれた半島西部の小都市。エルフやフェザードなどの異種族が多い

産業・特産物
工芸・芸術がさかんで、豪奢なつくりのきらびやかなものが多い。
また料理に関しても大陸一といわれ、ソースや香辛料を惜しげなくを使ったフルコースは食べきるのに丸一日かかるといわれるほど。
酒類はワインが中心。こちらも大陸に誇れる歴史をもつ銘柄が数多く存在する。

解説
東方地域の最東端、マリーシア半島に位置する中型の王国です。
元革命家ノーリッジ・オズボーンが異種族の協力をえて建国し、以来反帝国主義者たちの拠り所となってきました。
洗練された芸術文化の国で、ここで作られた芸術品は西方や敵国ロードリングにまで輸出され、高い評価をえています。
現在は戦争休止から60年近くが立って平和ムードが漂っていますが、最近はオレアスIV世の隠し子発覚、
南部では国境警備隊とロードリング軍との間で小競り合いがおきるなど、再び国家内外にあわただしさをましつつあります。


Adventureler's Spot-冒険の手引き

白い翼の記憶
建国王ノーリッジを導き、道中に倒れたとされるフェザードの少女マリーシア。
実は彼女の墓は現在もはっきりとわかっていません。国内各地に倒れたといわれる場所はあるものの、
実際にはどれも眉唾なものが多く、「本当の墓」といえるものは未だ見つかっていないのです。
一説によるとノーリッジとその仲間達は彼女を祭る廟を秘密裏に建立したといいます。
他人の墓を荒らすのは心苦しいかもしれませんが、もし見つけられれば多大な報奨金、あるいは墓に眠る秘法がそこにはあるかも…。


ロードリング帝国

代表
ライムンドIII世(人間・男・69歳)
ロードリング現皇帝。ロードリング王家には珍しい慎重型の人間で、智謀を得意とする老練の王。
現在の悩みは政治に全く興味を示さない後継ぎルガードのことだろう。

都市人口・人口比率
28万人
(人間95%、エルフ1%、ドワーフ1%、ドラゴニュート1%、フェザード1%、その他1%)

主要都市・産業
ブレイウッド(人口12万8千、工業):ほぼ中央に位置する帝都、山間に市街と城壁が連なる山城。
ハンネス(人口6万8千、商業・芸術):帝国西部の旧帝都。現在は商業拠点兼染色や服飾産業の中心地
アストカープ(人口3万2千、漁業・交易):帝国南部の港町。交易先はアレクスやダートなど
ブランルージェ(人口2万5千、鉱業):帝国北部、マリーシア国境付近の鉱山都市。異種族が多いことでも有名
ロートゥルム(人口1万6千、宗教・観光・武器製作):帝国東部、フォースメント大神殿のある宗教都市。風光明媚な観光都市でもある

産業・特産物
剛健な国民性を反映してか、重厚な造りの金属製品・革製品が有名。
食卓では肉類が盛んに食べられ、ソーセージやジャーキーのような保存食もここよりはじまった。
酒類はビールやエールのような穀物酒が中心で、貯蔵品より若い味のものが好まれる。

解説
ロードリングは東方の2/3を占める、現人類のはじめて作り上げた国家です。
建国から800年近くが経過していますが、未だにその精彩を欠くことなく質実剛健な軍事国家として東方の大部分を治めています。
主産業はアレクス自治区との交易・商業ですがその広大さにより、大抵のものは領土内でまかなってしまっています。
また異種族との軋轢でも有名な国でしたが、最近は軍部の軟化に伴いあまり露骨な差別はされなくなってきています。
もっともそれを嫌う人間至上主義者や右翼の人間も多く、衝突が起きることもまだまだ多いようですが…。


Adventureler's Spot-冒険の手引き

古の遺産
 "戦争国家"と揶揄されるとおり、ロードリングは数々の地方国家・豪族を滅ぼすことで現在の地位を築き上げてきました。
しかし滅ぼされた者の中には自らの再起や未来の子孫のために財産を隠したものも多くおり、
多くの冒険者達・あるいは再起を狙う没落貴族や商人たちのなかにも財宝を探すものは尽きることがありません。
もしあなたの手元にこういった地図が手に入ったら、それは一攫千金のチャンス……かもしれません。


アレクス自治区

代表
アレクス商工議会
アレクスの代表的な商工家代表11人よりなりたつ区議会。
上下関係はなく、メンバー自体も時と場合によって変化する。

都市人口・人口比率
2万1千人
(人間70%、その他30%。1/3近くは一時滞在の旅人)

主要都市・産業
アレクス(人口1万2千、交易・商業・各種風俗):自治区の中心となる交易商業都市
アルダ(人口8千、交易・漁業):アレクスの隣町に当たる海の玄関。西方〜東方交易の中継点

産業・特産物
基本的にはロードリングに準ずるが、西方の流れを汲んだものも多い。

解説
アレクス自治区は東西をさえぎる大砂漠の東端に位置する商業都市です。
以前は見向きもされない砂漠の小村でしたが、近年になって東方〜西方の拠点として急成長し、自治権を帝国より譲り受けました。
西方からの旅人の慰安、そして東方から砂漠へ向うものたちへの最後のオアシスとして商業地区、歓楽街が充実しており、
街中はいつでも行き交う冒険者や商人の姿でにぎわっています。しかし、にぎわっているのは表だけではありません。
そして多くの人が行き交うこの街は、東方最大の犯罪の温床でもあります。表向きは禁止された奴隷売買、
麻薬や密輸品まで、この街の裏に回れば手に入らないものはありません。
盗賊ギルドや商工会もこういったイレギュラーには頭を悩ませていますが、以前問題は解決していません。


Adventureler's Spot-冒険の手引き

宝物は……
様々な品物が行き来するアレクス自治区。その中にもやはりミスは起きるもので、
時たまとんでもない代物がとんでもない相手にやってくることもあります。
伝説の呪いのアイテムであったり、奴隷として売られた少年少女…そんなものが知らぬ間に届けられていたら?
あるいはあなた自身が「商品」としていつのまにか売買されてしまうのかも…?

大砂漠地帯
大陸の東西をわける大砂漠は未だ謎の多い地域です。
今では伝説となったドラゴンがあらわれたという話、砂嵐の向こうに光り輝く城をみた等の噂は絶えることがありません。
しかし、砂漠の熱気、特有の怪物、そして秘密を護ろうとする砂漠の民たちをかいくぐり、真実に辿り着けるものは極僅かです。
もし腕に自信があるのなら、そのような秘密を求めて砂漠を旅するのも悪くないかもしれません。


Western Side 西方地域
大陸ラフトの西半分にあたる、比較的最近になって発展した地域です。
西方地域には、
「森と雪の国」ツルス連邦共和国
「未開地帯」ヴァラー王国
「城砦国家」ダート共和国
「山岳王国」フリーチャーチ王国

の4国が存在します。

西方の歴史・世界情勢

 ロードリング帝国の誕生より300年、皇家に美しい双子の王子・王女が誕生しました。
王子ヴァイデ、王女アイヒェは兄妹の枠を超え深く愛し合うようになりましたが、
彼らの立場は皇家の、貴族達の暗闘へと利用されていってしまいます。
やがて、自らの存在がヴァイデを傷つける事に悩むアイヒェは忠臣たちと帝国を西へと去りました。
王子ヴァイデは深く悲しみましたが、彼の周囲が王女の後を追うことを許しませんでした。
やがて王子は賢帝と称えられる皇帝になりましたが、最後まで結婚し子を残すことを由としなかったそうです。

 一方、王女アイヒェは砂漠を越え、大草原…現在のダートへと辿り着きました。
長い旅で供のものは僅かとなっていましたが、砂漠の民や草原の民の協力者を加えた旅団は旅立ちの際よりも大きなものとなりました。
やがて旅団には豊かなダートの草原を安住の地にしようという意見が大きくなりました。ですが、
「もっと遠くへ」
それが王女アイヒェの意志でした。ここにきて旅団は大きく二つに分かれます。
大部分は草原に残ることを主張し、王女と供に北を目指そうというものは極僅か…一説では百人に満たぬ残兵だったといいます。
そこまでして王女が旅を続けた真相は明らかになっていません。一説ではロードリングを北(マリーシア)でなく、
未踏の大砂漠へと向った事や、王子ヴァイデとの馴れ初めから「王女は死に場所を求めていたのではないか」とも言われます。
草原に残った人々は草原の民の長ブリグマンを中心にダート王国を作り上げました。

 僅かな手勢と共に北へ向ったアイヒェ達を待っていたのは厳しい冬期のツンドラでした。
元より僅かであった一行が次々に倒れ全滅を間近とした時、ツンドラ土着のエルフ達が姿を表しました。
彼らは一行を自分達の集落に招くと、アイヒェを「悟りの門」とよばれる場所に連れていったといいます。
悟りの門で何があったのかはわかりません。
しかし、悟りの門より戻ったアイヒェは今までとうって変わった決意に満ちた様相で、この地に生きることを宣言しました。
それから十数年、旅立ちから50年近くが経過した369年。北方の原住民やダートからの移民を纏め上げツルス連邦は誕生しました。

 残念ながら、西方の歴史はロードリングほど安定したものにはなりませんでした。
王女アイヒェの意志は残念ながら王家に残ることなく、やがて肥大化した王国では内に謀略、外に侵略の火があがりました。
政争に破れたあるものは山岳へと逃げ延び、高地民族(ハイランダー)の国、フリーチャーチを起こしました。
圧制を逃れたあるものは最西のフロンティアへと向かい、開拓民となりました。隣国ダートへと落ち延びたものも数多くいます。
そして848年、王家の独裁はツルス王家はレジスタンス達と、行方不明だった第3王子ストア=ファレルの手で終わりを告げました。
冒険者の仲間と共に王都に戻ったストア=ファレルは王位を継いだ長兄を討ち、ツルス連邦共和国の樹立を宣言しました。

 現在、西方の情勢はいわば小康状態にあります。
2年前には王国時代から続いたツルスとダートの侵略・報復戦争も痛み分けで終わりをつげ、国土の復興がはじまっています。
またフロンティア連合ことヴァラー(原住民語で最前線を意味する)への交易路が確保されたことで、
人々の開拓熱も再燃しています。数百年ぶりにフリーチャーチで竜を見たとの報告もあり、冒険者には退屈しない環境でしょう。


ツルス連邦

代表
ハーヴェル・テオドリク(人間・男・53歳)
現連邦評議長。共和革命にも参加した軍人上がりで、実戦を知る故の平和主義者。
人類至上主義者なところがあり、異種族には評判が悪い。

都市人口・人口比率
21万人
(人間60%、エルフ10%、ドワーフ10%、フェザード5%、ハーフ種族5%、その他10%)

主要都市・産業
ツルス(人口9万8千、学問・林業・漁業):ツルス首都、領土東部の森と海に囲まれた平たく広い街。ライゼル大神殿あり
タリスク(人口5万6千、軍事・工業):ダート戦争の拠点となった中央南部の城塞都市。脱軍備が進められている。
ホルン(人口3万3千、商業・交易):ツルス最西、ホルン湖畔と湖上に広がる商業都市。西方各国の商品が集う雑多な街
ムングラ(人口1万2千、鉱業・武器製作):東部山脈にあるドワーフ・フェザード達の集落。鉱業やそれを使った鍛冶が盛ん
エリジャ(人口−、特になし):中央北部に広がるツンドラ地帯。ツルス周辺のエルフ・フェアリー達の一大拠点

産業・特産物
種族民族のるつぼであり、これというものはないが様々な地域の産業・特産物を見ることができる。
ちなみに漁業が盛んで生魚を食べる数少ない民族。鯨や海豚のような一風変わった食材も好まれる。
麦酒や果実酒を蒸留した蒸留酒(スピリッツ)の草分け的国家でもあり、その味は一見の価値ありとされる。

解説
20年程前に革命で倒れた王国の後に興された新興の複合国家です。西方地域の北東部、およそ1/4を占めます。
建国当初よりダートとの侵略・報復戦争をはじめとする災難が続きましたが、その豊かな国力は今のところ揺らいでいません。
国土の半分をツンドラ地帯に覆われた森と雪の国で、数多くの異種族達がくらしています。
自律自尊と開拓精神を大事にする国民性、きびしすぎず緩すぎない治安と冒険者にもすごしやすい環境です。


Adventureler's Spot-冒険の手引き

種族の軋轢
ツルスには多くの異種族が混ざり合い、共存しています。
しかしそれは必ずしも平和的なものにあらず、種族間の習慣や差別などの問題は少し目を凝らせば絶える事がありません。
特にエルフをはじめとする寿命の長い種族は労働力を占有する時間の長さから風当たりが強く、
時に互いの過激派の争いはちょっとした紛争レベルにまでふくれあがることがあります。
異種族同士が組むことの多い冒険者はこのような騒ぎに巻き込まれやすい存在です。
場合によっては問題解決のために双方の種族間を飛び回ることにもなるでしょう。


ダート王国

代表
ラミュエル・リスティア(エルフハーフ・女・29歳)
国民議会議長。本来は王家によってアイドル的に祭り上げられた傀儡だったが、非凡な才能をもつ女傑。
戦争末期において皇太子に暗殺された国王、そしてタリスク最終戦で行方不明になった皇太子にかわり、実質の政治指揮をとっている。

都市人口・人口比率
16万人
(人間80%、フェザード5%、獣人5%、その他10%)

主要都市・産業
ダート(人口10万4千、農業・工業):ダート首都、中央南部の丘陵地帯に立てられた堅牢な城塞都市
ティエンヌ(人口2万2千、交易):大砂漠地帯西側の出口にあたる交易都市。王国直轄地であり治安は良好
ヒメ(人口1万6千、学問・研究):国の命でつくられた北西部に位置する学術都市。西方最大の魔術師ギルドがある
ズザナ(人口2万9千、交易・各種風俗):領土西部のツルス・ヴァラーとの交易拠点。雑多な街で犯罪者も多い

産業・特産物
肥沃な大地を生かした農業が中心産業で、そこより発展した綿産業も特産の一つ。
食卓には豚・牛・馬といった肉類がよくのぼり、近年ではヴァラー由来の「コメ」作りも進んでいる。
穀物酒に加え、乳類を醗酵させた乳酒や蜂蜜より作る蜂蜜酒も伝統品として飲まれている。

解説
西方地域の南東部にあたる、東方からの門となる国家です。
封建国家でしたが数年前にツルス報復戦争の最終戦で王族が全滅し、現在は傀儡であった国民議会が政治を行っています。
なお、ダートは現在でも奴隷制の残る数少ない地域で、刑罰を受けたものや、ヴァラーから「狩られて」きた獣人、
またそれら奴隷の子供たちが労働力や観賞用として売りに出されています。
法律により奴隷への虐待等は禁止されており、待遇は言われるほど悪いものではありませんが、
やはり非人道的なシステムとして識者たちや他国民の間から非難の声が集中しています。
(それでも奴隷制がなくならないのは、広大な農地を耕す労働力不足という側面もあるからでしょう…)


Adventureler's Spot-冒険の手引き

やってきた者たち
ダートは西にヴァラー、東に大砂漠と民族移動の狭間にある地域です。
そしてやってくる者たちの中には面倒を背負ってくるものも多く存在します。
例えば逃亡中の貴族や犯罪者、子供を攫われたヴァラーの獣人…彼らとの係わり合いは時に冒険の始まりの一つとなるでしょう。


フリーチャーチ王国

代表
ヘイズ・レナート(人間・男・81歳)
王国宰相。建国王ブロウ・レーウィンの友人であり、彼の遺児である王女サンナの後見人。
穏やかな表情の裏で冷徹な謀略をめぐらせる策士。

都市人口・人口比率
8万人
(人間80%、ドワーフ5%、フォウル5%、ドラゴニュート5%、その他5%)

主要都市・産業
フリーチャーチ(人口3万4千、鉱業・武器製作):王都。山岳に段々畑のように町と王城が広がる。ヴァルデアス大神殿あり
ウィンディ(人口2万7千、交易・漁業):北西部の僅かな平地に作られた港町。ヴァラーやツルスとの交易港
フェィン(人口1万3千、軍事・工業):山岳奥地にあるドラゴニュートの公国。領内ではあるが独自の自治権をもつ

産業・特産物
元狩猟民族たちの国であり、革や骨を使った独特の工芸品がみられる。またドワーフ達の独自技術による武具も有名。
少ない穀物を有効に食べるためのパスタ、乳製品保存のために生まれたチーズな独特の食材がみられる地域でもある。
酒類は山間より採取された果実による果実酒が主流。

解説
大陸北西部を占める大山岳地帯に存在する小規模な都市国家です。
50年程前、地域の蛮族たちをツルスより出奔したという建国王ブロウと仲間達が束ね上げて誕生した比較的新しい国家で、
国土の70%以上が山岳という環境を差し引いてもいまだ発展途上の王国です。
5年前に建国王ブロウがなくなり、後継ぎもわずか8歳のサンナ王女のみとやや危うい状態にあります。
現在は先王の友人であったヘイズが引き続き宰相として後見をしていますが、彼をよく思わない人物も増えてきています。


Adventureler's Spot-冒険の手引き

空より来るもの
フリーチャーチでは伝説とされるドラゴンが昔からよく目撃されてきました。
100年単位の周期であらわれる彼らの姿は多くの冒険者をいまなお魅了しています。
その生態を知りたいというもの、挑み力を試したいというもの、彼らの持つという財宝を狙うもの…
近年、フリーチャーチでは久々にドラゴンの姿が目撃されはじめました。
竜の探索は冒険者ならば一度は挑んでみたいクエストの一つとなるでしょう。


ヴァラー(フロンティア連合)

代表
"大猫"ドルフ(人間・男・43歳)
クレリク市長。ヴァラー代表というわけではないが、フロンティア全体の権利を護ることに奔走している。
元開拓者で2m以上の巨漢。見た目どおりの豪放な性格の持ち主。

都市人口・人口比率
3万人
(人間60%(うち原住民が50%)、獣人30%、その他10%(殆どが移民で、原住種族は人間と獣人のみ))

産業・特産物
現実社会で言う「東洋」的な一風かわった工芸品が多い。米や茶なども最近は輸出し始めている。
食事も米を主食とし、海藻や鮮魚食などとかく変わったものが多い。
酒は穀物酒が主流で米酒や麦酒が多く飲まれ、発泡酒はあまりみられない。

主要都市・産業
クレリク市(人口2万、商業・交易):フロンティアの入り口となる開拓者達の街。原住民は少ない
イストン(人口3千、林業・服飾):東部の獣人達の部落を元とした開拓都市。フロンティア独特の服飾業が盛ん
ノウトン(人口3千、工業):中央北部の開拓都市。現在、近隣の原住民と衝突がおきている

解説
ヴァラー(フロンティア連合)とは大陸西端の未開地帯の名称で、正式な国家名ではありません。
海と山岳に囲まれたこの地域では独自の文明が育まれ、他の西方文化とは全く違った文化…
現代世界で言う、東洋系の文化の姿をみることができます。
また獣人はフロンティア土着の民族で、他の地域に住むものたちも全て元はヴァラー出身です。
開拓が進むにつれ、最近では原住民と開拓者の衝突、ダートの奴隷商人たちによる獣人狩り等が問題視されはじめ、
一部の開拓者達の手で権利保護運動が盛んになっています。


Adventureler's Spot-冒険の手引き

冒険者、西へ
ヴァラーの開拓前線はいまだ終端に達したわけではありません。
西へ!もっと西へ!未知の怪物、原住民との衝突、自然災害…困難を乗り越えて人は最果てを目指します。
最果てに何が待っているのか…それを突き止めるのは誰になるのでしょうか。


その他世界について

郵便網
 一般的な郵便網として、盗賊ギルドが表向きの看板としている冒険者便が存在します。
これはギルドを通して各都市に向かう冒険者に手紙を預けて運んでもらうシステムで、
ギルド間で対立している都市やギルドに異常がある都市以外なら、殆どの都市で利用できます。
料金は拠点⇔拠点で日数×20F(うち1割がギルド利益)が一般的で、個人への郵送等も追加料金で行っています。
欠点として冒険者がトラブルに巻き込まれた場合、届く保障がないこと、そして機密についてかなりアバウトなことがあげられます。
隣町への恋文程度ならばともかく、見られたりなくなっては困る機密文書をおくるにはむいていません。
 他の郵便網としては盗賊ギルド構成員が独自に開業する配達屋も存在します。
これは配達率・機密はほぼ完璧(信用第一の商売ですから)ですが、料金は5倍以上取られるのが普通です。
魔術師ギルドなどでは魔法による通信手段も一応存在しますが、やはり高嶺の花です。

治安
 冒険者達が増えてきた現在、武器所持や魔法についての取り締まりは結構甘めです。
もちろん殺傷沙汰や悪意ある使用を行えば、詰め所の牢屋や最悪絞首台が待っていますが、
所持自体についてあまり咎められる事はありません。
規制レベルはツルスやダートなど緩やかな地域で1、ロードリング等の厳しい地域でもせいぜい2です。
なお、ヴァラーは規制レベル0となります。フロンティアには統一政府自体が存在しないためです。
取締りが上手くいかない理由の一つには人手不足があります。この辺りはかなり市民の自主性に頼っており、
あまり好き勝手な振舞いをしていると国家ではなく市民間レベルで注意、警告をされることがあるかもしれません。

聖職者と魔法
 一般市民の考える魔法の力は「聖職者の使う神秘の力」か「魔術師の使う不気味な力」であるのが普通です。
この考え方は殆どの地域に根強く残っており、魔術師の魔法は一般人に忌避と恐怖を集めることになるでしょう。
逆に聖職者は節度を守った態度と威厳を示す事ができれば一般人に信頼の目で見られますが、
逆に教団の品位を落とすような真似をすれば破門や…最悪、始末されるかもしれません。
 冒険者にとって魔法は剣や知識同様、便利で役立つ力の一つです。
一般人のように恐れるものは少ないですが、逆に「神なぞ何するものぞ」というものも多くいます。

冒険者たち
 ロードリング帝国が安定期に入った頃、未開地に一攫千金を目指す者たちがあらわれました。
人々は彼らを尊敬とあきれが混ざった視線で「冒険者」と呼びました。
冒険者たちの多くは志半ばに秘境へと倒れていきましたが、生き残ったものは莫大な富を手に入れ、歴史に名を残しました。
その偉業にあこがれた若者達はこぞって冒険者をめざし、600年前後より冒険者全盛時代が始まります。
やがて秘境は姿を消し、代わりに残ったものは冒険者崩れのならず者や、未開地を追われた怪物たちとなります。
「冒険」にあぶれた冒険者たちは報酬のために、そうした新旧の厄介ごとを引き受けるようになっていきました。
仕事を探す冒険者たちは都市に拠点を持ち、次第に集団で行動するようになります。冒険者目当ての店もあらわれました。
こうして、現代の「開拓者兼何でも屋」という形の冒険者のイメージは固まっていったのです。

 現代の冒険者たちは都市に拠点を持ち、普段は街の荒事や事件を片付けて報酬をもらって生活し、
やがてくるであろう冒険…竜の探索や遺跡発掘、未開地への旅を夢に見る…というのが一般的な姿です。
冒険者は社会にぶらさがって生きるような存在であり、けして楽な職業ではありませんがそれでも志願者は後を絶ちません。
その暮らしゆえか冒険者同士の横の連帯は非常に強いものです。
特にギルドなどはありませんが民間人に手を出さない等の不文律を敷き、互いに助け合う事もままあります。


History 歴史

B.C30年頃
東方でモンスターの異常発生が起きる。豪族間の結束高まり、ロードリング帝国の原型ができる。

大陸暦(C.C)0年
ロードリング帝国建国。初代皇帝はロードリング・ランドール。

C.C250頃
ロードリング、東方の約8割を掌握。東方の一国独裁がほぼ完成する。

C.C303
後のツルス建国女王アイヒェ、孤独の賢帝ヴァイデの兄妹生まれる。
この頃より貴族達の力が強まり、皇家打破の動きや権力闘争が水面下で始まる。

C.C317
帝都ハンネスで反皇家の大規模テロ発生。帝国軍との激しい激突の末沈静化するがハンネスは大きな打撃を受ける。
反皇家の筆頭貴族ノーリッジ・オズボーン、フェザードの少女マリーシアの導きで北の未開地に逃れる。

C.C321
王女アイヒェ、僅かな手勢をつれロードリングより大砂漠地帯〜西方へ出奔。

C.C333
現帝都ブレイウッド完成。第7代皇帝ヴァイデの即位と共に遷都が行われる。

C.C335
西方でダート王国の原型ができあがる。王女アイヒェ、定住派と袂を分かち更に北へ。

C.C348
マリーシア王国建国。初代国王にノーリッジ・オズボーンが即位し、対ロードリングに向け軍備が進む。

C.C362
ロードリング・マリーシア初激突。結果は冬期の到来によりマリーシアの防衛的勝利に終わる。

C.C369
ツルス連邦王国建国。初代女王に王女アイヒェ即位。既に66歳の老体だった。

C.C403
ロードリング・マリーシア第二次東方戦争勃発。以降全て結果は両者痛み分け。

C.C458
ロードリング・マリーシア第三次東方戦争勃発。

C.C489
フリーチャーチ山岳地帯で紅と蒼の二頭のドラゴンが目撃される。

C.C501
ロードリング・マリーシア第四次東方戦争勃発。

C.C522
冒険者フーゴ、東方〜西方間で交易路を確立。東方〜西方貿易が活発になる。

C.C560
ロードリング・マリーシア第五次東方戦争勃発。

C.C597
ツルス東部の山岳地帯で今度は黒と白の二頭のドラゴンが目撃される。
489年のドラゴンとの関連は不明。

C.C628
ロードリング・マリーシア第六次東方戦争勃発。

C.C673
ロードリング・マリーシア第七次東方戦争勃発。

C.C701
フリーチャーチ南部の山岳地帯で再び黒白の二頭のドラゴンが目撃される。
以降803年にも二頭は姿を表し、山岳部に巣があるのでは?との噂が流れる。

C.C748
ロードリング・マリーシア第八次東方戦争勃発。

C.C777
ダートの冒険者ネリーと仲間達、フロンティアへの交易路を確立。

C.C790
ロードリング・マリーシア第九次東方戦争勃発。

C.C800頃
ツルスの騎士ブロウ・レーウィンと仲間達、フリーチャーチへと出奔する。

C.C817
フリーチャーチ王国建国。英雄王ブロウ・レーウィンが国王に即位、フェィンの自治権を承認する。

C.C862
フリーチャーチ南部の山岳地帯に金と緑の二頭のドラゴンが出現。
国内外各地から冒険者たちがあつまるドラゴンラッシュがはじまる。

C.C845
ツルス王城に侵入者騒ぎ。妾腹の第三王子ストア=ファレル、誘拐犯である冒険者を庇い行方不明に。
冒険者を手引きしたのは革命派の貴族達だったといわれている。

C.C848
ストア・ファレルと冒険者、レジスタンスに合流。年末に国王クラウ・ファレルが打倒され、ツルスの王政が終わりを継げる。
第一王子にして王となったばかりのクラウは魔術の力で悪魔の軍勢を操り、自らも不死者となって戦ったとされるが詳細は不明。
武人肌の第二王子ザーグは革命前後の騒動の中で行方不明となっている。

C.C851
ツルス連邦王国、ツルス連邦共和国に改名。初代・2代目評議長は若年ながら圧倒的支持によりストア・ファレルが就任。
三期目にまで支持を受けたが、2期目の任期終了と同時に忽然と姿を消した。

C.C864
ダート王国、ツルスに王国時代の戦争賠償と領土返還を大儀に宣戦布告。報復戦争始まる。

C.C868
ツルス・ダート報復戦争終結。停戦条約が最終決戦の地タリスクで結ばれる。
なお、最終決戦に前後してダート国王ラーヴェンが暗殺、暗殺を行った皇太子トラウムも最終戦において行方不明となる。
ダート国民議会、正常機能を回復する。評議長は戦前より引き続きラミュエル・リスティアがつとめることに。

C.C865
フリーチャーチの英雄王、ブロウ・レーウィン死去。王女サンナ、宰相ヘイズ・レナートが後見に立ち即位する。

C.C870年
現在。